緑色の桜を知っていますか?
薄桃色や白い花びらが多い桜の中で、ひときわ異彩をはなっているのが緑色の花を咲かせるギョイコウ(御衣黄)という品種です。どんな桜なのでしょうか?
◆花びらの緑の正体は葉緑素
日本にある桜は栽培用品種を含めると600種類以上ありますが、緑色の花を咲かせるのはギョイコウだけです。咲き始めは完全に緑色ですが、次第に緑色は薄れて黄緑色から黄色になり、やがて中心部が筋状に赤くなります。
やがて中心部が筋状に赤くなる この緑色の正体は葉緑素。葉に含まれるものと同じで、花びらの裏側には気孔もあります。花は葉から進化したと考えられていますが、ギョイコウの花は先祖返りしたようです。
全国で桜の名所づくりを手がける「日本花の会」の主幹研究員、和田博幸さんは、ギョイコウについて語ります。
「ギョイコウは緑色の花びらをした八重桜です。パッと見には花が目立たないので気付かないほどですが、よく見ると緑色をした花の不思議さに魅了されます。数多く植えられているわけではないので、花を見ることができたら、かなりラッキーと思ってください」
◆江戸時代、京都の仁和寺が発祥
ギョイコウは江戸時代、京都の仁和寺で栽培されたのが始まりとされ、人為交配によるものと考えられています。片親はオオシマザクラ系の桜ですが、もう片方の桜は不明です。名前の由来は、貴族の衣服の萌黄色に近いためだとされています。
緑色の花を咲かせる植物はまれですが、シュンラン(単子葉植物ラン科)、ハナイカダ(モチノキ目ハナイカダ科)、ツルウメモドキ(ニシキギ科)、ツタ(ブドウ科)などがあります。
遅咲きのギョイコウの開花~見頃は、関東地方で4月中旬から下旬にかけて。陽気もよくなっていますから、少し足を伸ばして緑色の桜を探しに行きませんか?
ギョイコウが見られる主な場所(*^-^*)
【北海道】
・松前城址公園(松前町)
【茨城県】
・かみね公園(日立市)
・十王パノラマ公園(日立市)
【埼玉県】
・三ツ和公園(川口市)
・美の山公園(皆野町)
【東京都】
・皇居東御苑(千代田区)
・柳森神社(千代田区)
・浜離宮恩賜公園(港区)
・新宿御苑(新宿区)
・東郷記念館(渋谷区)
・田園調布せせらぎ公園(大田区)
・雷公園(江戸川区)
・七社神社(北区)
・中川公園(足立区)
・国営昭和記念公園(立川市)
・多摩森林科学園(八王子市)
【神奈川県】
・神奈川県立フラワーセンター大船植物園(鎌倉市)
・こどもの国(横浜市)
【静岡県】
・古楠神社(掛川市)
【愛知県】
・名古屋城(名古屋市)
・大高緑地(名古屋市)
・杁ヶ池公園(長久手市)
【滋賀県】
・叶匠壽庵寿長生の郷(大津市)
【京都府】
・平野神社(京都市北区)
・仁和寺(京都市右京区)
・岩上神社(京都市上京区)
・京都御苑(京都市上京区)
【大阪府】
・造幣局桜の通り抜け(大阪市)
・大阪市立大学理学部付属植物園(交野市)
【奈良県】
・長谷寺(桜井市)
【和歌山県】
・紀伊風土記の丘(和歌山市)
・休暇村・紀州加太(和歌山市)
・根来寺(岩出市)
・城山台中央公園(橋本市)